楽器のウラ技
弾いていないはずの鍵盤が鳴る!?
〜ピアノで共鳴の実験〜
ピアノを弾くときに,「自分が弾いたはずの鍵盤の音とは異なる音が鳴る」なんていうことがあり得るのでしょうか?確かにあり得ます。これにはピアノの構造が大きなカギを握っています(ピアノの構造を詳しく知りたい方はこちらへ→ピアノの構造)。
ある鍵盤を,そっと押さえ込みます。
そうすると,ハンマーが弦を叩かないので音は出ません。
そしてダンパーが弦から離れて,その弦は振動できる状態になっています。
そのままの状態で,押さえた音を倍音に含むに音の鍵盤を
瞬発的に(スタッカートで)叩きます。
すると,叩いた鍵盤の音が瞬間的に鳴った後に,音を出さなかったはずの鍵盤の音が鳴り響きます。
叩いた鍵盤の弦の振動は,指を離したと同時に止まりますが,
叩いた音が押さえていた方の鍵盤の弦に共鳴(共振)するため,
こういった現象がおこります。
例えば…
C4(261.63Hz)の鍵盤を,音がしないようにそっと押さえ込みます。
そのままの状態で,C4を2倍振動にもつ1オクターブ下のC3(130.81Hz)を瞬発的に叩きます。
すると,C4の弦がC3の振動で共鳴し,音がしないように押さえたはずのC4の音が鳴り続けます。
同様に,3倍振動のG4(392.00Hz),4倍振動のC5(523.35Hz)などをそっと押さえたまま,
C3の鍵盤を瞬発的にたたくと,同様の効果が得られます。
C4(261.63Hz)を押さえてC3(130.81Hz)を叩く
wmv(46kb)
G4(392.00Hz)を押さえてC3(130.81Hz)を叩く
wmv(42kb)
C4(261.63Hz),E4(329.63Hz),G4(392.00Hz)を押さえてC3(130.81Hz)を叩く
wmv(42kb)
参考文献
ホアン・G・ローダラー著 高野光司/安藤四一訳 音楽の科学(音楽之友社)
国立天文台編 理科年表(丸善株式会社)