熱 伝 導 率
(面白いお話)
「木材、ガラス、鉄」どの物質が一番冷たく感じるだろうか。
たとえば、ここにひとつの閉め切った部屋があります。
そこに、木材、ガラス、鉄を持ち込みしばらく置いておきます。やがて、同じ温度になったあと、それらを順に触っていきます。すると、鉄やガラスは木材と比較して、はるに冷たく感じるはずです。どうしてでしょうか。
熱伝導率к[W/m・K]を比較すると、鉄は83.5、ガラスは
0.55〜0.75、木材0.15〜0.25です。
鉄の熱伝導率が極端い高いことがわかります。鉄のように熱伝導率の高い物質に手を触れると、その触れた面から急速に鉄の方に熱が
移動するので、冷たく感じるのです。
それでは、ガラスはどうして冷たく感じるのでしょうか。ガラスの
熱伝導率は木材と大きく変わりません。それは、手との密着度の違いによるものです。ガラスの表面を見ると、ツルツルですよね。つまり、手とガラスの間の密着度が非常に高いので、空気のはいるスペースがないのです。空気は熱伝導率が、0.0241と非常に小さいので熱を伝えにくいのです。その空気がほとんど手とガラス
の間にはいらないので、冷たく感じるわけです。逆の木材は表面が
ざらざらなので、手との接着面で空気がはいりやすいので、冷たく感じないのです。
飛行機の窓ガラスが複層ガラスになっているのはなぜだろう
空気の熱伝導率が非常に小さいので、その特性を利用し断熱材として利用されることがあります。それが複層ガラス窓です。これは、2枚のガラスの間に乾燥した空気を封入し、密閉した窓ガラスのことです。飛行機や最近は一般家庭の窓にも採用されています。
例えば、建物の窓が複層になっていると、夏場では外の暑さが室内に伝わってきにくいので、冷房がよくきき涼しく過ごすことができます。冬場も、外の冷たい空気が室内に伝わってきにくいので、室内が暖かくても結露しにくいのです。
又、お魚屋さんなどで魚を買ったとき、発泡スチロールに氷をたくさんいれて、渡してくれる場合がありますね。これも発泡スチロールが空気を内臓した断熱材だからです。氷も融けにくいのです。
参考文献
大塚徳勝著:「そこが知りたい物理学」共立出版(株) 1999年
小暮陽三著:「ゼロから学ぶ熱力学」 講談社 2001年
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